こんにちは、東灘区の歯医者 歯科衛生士の竹中です。
本日は、TCHについてお話したいと思います。
皆さんは、TCHという言葉はご存じですか?
TCHとは、Tooth Contacting Habitの略で
上下の歯を接触させ続ける(上下歯列接触癖)のことです。
噛んでいる時や飲み込むとき、発音する時等(1日17.5分)以外は
上下の歯は接触していないことが普通です。
しかし、緊張する場面であったり、ゲーム操作集中している時など少しうつむいて作業する場合では自然と歯を接触させる状態になります。歯を接触させる状態が繰り返し続くと、脳が慣れ、「触れていることがふつう」になります。すると、筋や関節も徐々に疲労してきます。疲労状態が続けば痛みになります。
また、知覚過敏や、間違って噛んでしまったり、口内炎ができやすくなります。ほかにも、歯や詰め物に持続的な圧迫や揺さぶる力がかかり続けることで詰めものが外れやすくなったり、神経を抜いて弱くなっている歯にひびなどが入ったりする可能性があります。
入れ歯の方では、入れ歯を絶えず粘膜に押し付けているために、入れ歯の下の粘膜の血行が阻害され、傷ができやすくなります。
TCHは気づくことが大事です。
癖は人から指摘されるまで気付かないように、TCHもご自分では気付けないので、家の中に「歯を離す」や「リラックス」「力を抜く」などのメモを見える場所に貼ってください。
それを見た時にもし上下の歯が触っていたら、鼻から息を吸いながら一度肩を大きく上げて、一気に口から息を吐いて力を抜きましょう。これを繰り返すことで癖が自然に抜けていきます。
歯が触れること自体は悪いことではありません。
単発的な歯の接触ではなく、そこに時間軸が加わり継続され、さらに繰り返し行われることにより常態化すると、習慣として形成されます。時間経過とともにTCHの力は累積され、何かしらの臨床症状をともなうようになります。
癖に気付くことで、より問題の少ない歯の接触へと変えていきましょう!
〈参考文献〉QUINTESSENCE 歯科衛生士 No.45 2021年1月出版